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期待を超えた5チーム - 開幕前パワーランキングと現在の順位を比較

2025-26シーズン開幕前、NBA.comが発表したパワーランキング。 30チームの序列は、各チームのオフシーズンの動きや戦力分析をもとに決められました。

あれから約4か月。オールスターブレイクを迎えた今、「期待」と「現実」の間には想像以上のギャップが生まれています。前評判を大きく覆したチームもあれば、予想通りの強さを見せるチームも。

この記事では、開幕前のパワーランキングと現在の勝率ベースの全体順位を比較し、予想を最も上回った5チームを紹介します。何が変わり、誰が飛躍したのか。データとともに振り返りましょう。

期待を超えた5チーム

開幕前のパワーランキングと、勝率で並べた現在の全体順位とのギャップを算出しました。最も大きく予想を超えて飛躍した 5チームがこちらです。

チーム PR順位 現在順位 ギャップ 成績 勝率
ボストン・セルティックス 19位 4位 ▲+15 35-19 .648
フェニックス・サンズ 25位 12位 ▲+13 32-23 .582
サンアントニオ・スパーズ 15位 3位 ▲+12 38-16 .704
デトロイト・ピストンズ 11位 1位 ▲+10 40-13 .755
トロント・ラプターズ 20位 11位 ▲+9 32-23 .582

ここからは、それぞれのチームの躍進の理由を見ていきます。

ボストン・セルティックス(PR 19位 → 現在4位、▲+15)

2025年5月、プレーオフ中にエースのジェイソン・テイタムが右アキレス腱を断裂。そこからオフシーズンにかけて、クリスタプス・ポルジンギス、ジュルー・ホリデー、アル・ホーフォードらが相次いで退団し、昨季の得点力の46%にあたる4,415得点分のプロダクションを失いました*1

多くのメディアが「ギャップイヤー」を予想し、パワーランキング19位は妥当な判断に見えたでしょう。

現実は正反対でした。ジェイレン・ブラウンが平均29.3得点・6.9リバウンド・4.7アシストと、いずれも自己最高を上回るペースを記録。得点ランキングでもリーグ上位に名を連ねています。オールスタースターターにも選出され、MVP候補として名前が挙がるほどの活躍ぶりです。

ブラウンだけではありません。デリック・ホワイトはチーム最高のプラスマイナス+381を記録し、ペイトン・プリチャードも自己最高の平均17.2得点を叩き出しています。

若手の台頭も見逃せないポイントです。ルーキーのウーゴ・ゴンザレスはシーズン序盤から出場機会をつかみ、49試合に出場。ディフェンス面で早くも信頼を勝ち取っています*2

ジョー・マズーラHCはロスターの大幅な入れ替えの中で、昨季のオールスターブレイク時点を上回るオフェンシブレーティングを実現。コーチ・オブ・ザ・イヤーの有力候補に挙がるのも、納得の手腕と言えるでしょう。

フェニックス・サンズ(PR 25位 → 現在12位、▲+13)

1試合平均10.1スティール*3。この一つの数字が、サンズの変貌を鮮やかに映し出しています。

ケビン・デュラントのトレード、ブラッドリー・ビールのバイアウト。2025年夏に主力2人を手放し、パワーランキング25位まで評価を落としたサンズでしたが、新HCジョーダン・オットが就任初日から掲げた「ディフェンスとフィジカルの文化」がチームの空気を一変させました*4

メディアから「OKC/トロント型」とも評されるプレッシング型のディフェンスは*5、相手のポゼッション時間を削り、タイミングを崩す戦術です。昨季リーグワースト4位だったディフェンシブレーティングが約5〜6ポイント改善されたことが、その効果を裏付けています。

オフェンスの中心はデビン・ブッカー。平均25.2得点・6.3アシストでチームを牽引し、5度目のオールスターに選出されました。HCオットが「リーグで10年近く過ごしてきた中で最高のゲームマネジメント能力」と評するブッカーの司令塔ぶりが、チームの中心として攻撃をまとめ上げています。

攻守の要として存在感を放つのがディロン・ブルックス。自己最高の平均21.2得点を叩き出しながら、オソ・イゴダロやライアン・ダンら若手にフィジカルな守り方を叩き込む「文化の体現者」でもあります*6

シーズン途中からスターターに定着したコリン・ギレスピーも平均13.3得点・4.7アシスト・1.4スティールとチームに欠かせない存在へ成長しました。「スター頼み」から「チーム一丸」への転換が、+13というサプライズを生み出しました。

サンアントニオ・スパーズ(PR 15位 → 現在3位、▲+12)

フランチャイズ史上初の開幕5連勝*7。通算78勝168敗だった過去3シーズンの面影はどこにもありません。

3年目のウェンバンヤマは平均24.4得点・11.1リバウンド・2.7ブロックを記録し、DPOY(最優秀守備選手賞)の最有力候補に挙がっています。オールスターでは西カンファレンスのスターターにも選出されました。リムプロテクションだけでなく、ペリメーターからリムまでコート全域をカバーできる守備範囲の広さが、スパーズのディフェンスを根底から変えています。

オフェンスに新たな風を吹き込んだのは、2025年2月にサクラメント・キングスから加入したディアロン・フォックスです。スピードとダウンヒルプレッシャーがウェンバンヤマとのコンビネーションで噛み合い、クラッチタイムは12勝3敗という勝負強さを見せています。代替選手としてオールスターにも選ばれました。

忘れてはならないのが2年目のステフォン・キャッスルでしょう。平均16.5得点・7.0アシストとプレーメイカーとして大きく成長し、西カンファレンスの週間MVPも受賞しました。

ポポヴィッチの退任後、ミッチ・ジョンソンHCが率いる新体制のもとで、6年ぶりのプレーオフ復帰はほぼ確実です。

デトロイト・ピストンズ(PR 11位 → 現在1位、▲+10)

わずか2年前、NBA史上ワーストの28連敗を喫したチームが、今やリーグ全体の首位に立っています。40勝13敗。デトロイト・ピストンズのこの成績は、近年のNBAで最も劇的な再建ストーリーと呼べるかもしれません。

その中心にいるのがケイド・カニングハムです。平均25.3得点・9.6アシスト・5.6リバウンドでMVP候補に急浮上し、10〜11月にはイースタン・カンファレンス月間最優秀選手を初受賞。オールスターでも東のスターターに選ばれ、アレン・アイバーソン以来のピストンズからのスターター選出となりました。

チームの守備を形作るのは、JB・ビッカースタッフHCが掲げる"Rough and Rugged(荒々しくタフ)"な哲学です。12月にはアイザイア・スチュワートが、1月にはアサー・トンプソンが、それぞれイーストのディフェンシブ・プレイヤー・オブ・ザ・マンスに選出されました。特に1月はリーグ1位のディフェンシブレーティング104.8を記録しています。

カニングハムの圧倒的な攻撃力を軸に、チーム全員で守り抜くスタイルが確立されたことが、この躍進につながっています。

10月29日から11月26日にかけて達成した13連勝は、1989-90年と2003-04年の優勝チームに並ぶフランチャイズ記録*8。パワーランキングでもWeek 15でオクラホマシティ・サンダーを抜き、No.1の座を手にしました*9

28連敗からの逆転劇は、「何が起こるか分からない」というNBAの醍醐味そのものでしょう。

トロント・ラプターズ(PR 20位 → 現在11位、▲+9)

スコッティ・バーンズは紛れもないフランチャイズスターです。2025-26シーズンのラプターズを語るうえで、この結論は動きようがありません。

平均19.3得点・8.4リバウンド・5.6アシストに加え、1.6ブロックと1.3スティール。スティールとブロックを合わせた「ストック」ではリーグトップの数字を叩き出し、DPOY級の守備力でオールスターにも選出されました*10

攻守両面でチームを引っ張るバーンズの存在が、ラプターズ躍進の土台です。

オフェンスの幅を広げたのがブランドン・イングラムでしょう。チームトップの平均21.8得点で、55試合中53試合に出場する安定した稼働率を見せています。ステフィン・カリーの欠場を受けてオールスターの代替にも選ばれました。

バーンズとイングラムを含め、平均17得点以上の選手が4人並ぶスコアリングの層の厚さは、昨季30勝52敗のチームとは別物です。

ダルコ・ラヤコビッチHCの「0.5オフェンス」も浸透してきました。ボールを持った全選手が0.5秒で判断を下すこの戦術哲学により、アイソレーションが減り、ボールムーブメントが活性化しています。

ただし、トップ10チームに対しては4勝13敗と壁に直面しているのも事実*11。この壁を打ち破れるかどうかが、シーズン後半の最大のテーマとなるはずです。

全30チームのランキング表

開幕前のパワーランキングと現在の順位を全30チーム分まとめました(予想以上/予想以下/ほぼ予想通り)。

順位 チーム 成績 勝率 PR ギャップ
1 デトロイト・ピストンズ 40-13 .755 11 ▲+10
2 オクラホマシティ・サンダー 42-14 .750 1 →-1
3 サンアントニオ・スパーズ 38-16 .704 15 ▲+12
4 ボストン・セルティックス 35-19 .648 19 ▲+15
5 ニューヨーク・ニックス 35-20 .636 4 →-1
6 デンバー・ナゲッツ 35-20 .636 2 ▼-4
7 ヒューストン・ロケッツ 33-20 .623 7 → 0
8 クリーブランド・キャバリアーズ 34-21 .618 3 ▼-5
9 ロサンゼルス・レイカーズ 33-21 .611 10 →+1
10 ミネソタ・ティンバーウルブズ 34-22 .607 5 ▼-5
11 トロント・ラプターズ 32-23 .582 20 ▲+9
12 フェニックス・サンズ 32-23 .582 25 ▲+13
13 フィラデルフィア・セブンティシクサーズ 30-24 .556 18 ▲+5
14 オーランド・マジック 28-25 .528 9 ▼-5
15 ゴールデンステイト・ウォリアーズ 29-26 .527 8 ▼-7
16 マイアミ・ヒート 29-27 .518 21 ▲+5
17 ポートランド・トレイルブレイザーズ 27-29 .482 22 ▲+5
18 ロサンゼルス・クリッパーズ 26-28 .481 6 ▼-12
19 シャーロット・ホーネッツ 26-29 .473 27 ▲+8
20 アトランタ・ホークス 26-30 .464 12 ▼-8
21 シカゴ・ブルズ 24-31 .436 23 →+2
22 ミルウォーキー・バックス 23-30 .434 14 ▼-8
23 メンフィス・グリズリーズ 20-33 .377 16 ▼-7
24 ダラス・マーベリックス 19-35 .352 13 ▼-11
25 ユタ・ジャズ 18-38 .321 30 ▲+5
26 ブルックリン・ネッツ 15-38 .283 29 ▲+3
27 インディアナ・ペイサーズ 15-40 .273 17 ▼-10
28 ニューオーリンズ・ペリカンズ 15-41 .268 24 ▼-4
29 ワシントン・ウィザーズ 14-39 .264 28 →-1
30 サクラメント・キングス 12-44 .214 26 ▼-4

※順位は勝率ベースの全体ランキング。PR=開幕前パワーランキング順位。

おわりに

ここまで、開幕前パワーランキングの予想を大きく超えた5チームを取り上げてきました。いずれにも共通するのは、個人の飛躍とチームの方向性がかみ合ったこと。コーチングの力、若手の成長、そして新戦力の融合が重なり、シーズン前には想像できなかった景色が広がっています。

ランキング表に目を向ければ、期待通りの活躍を見せるチームも存在します。オクラホマシティ・サンダー(PR 1位 → 現在2位、ギャップ-1)はシェイ・ギルジャス=アレクサンダーがMVP最有力候補として君臨し、開幕前の評価に違わぬ強さを見せています。ニューヨーク・ニックス(PR 4位 → 現在5位、ギャップ-1)もほぼ予想通りの位置で安定感を発揮しています。

予想に届かなかったチームについては今回深くは触れませんが、プレーオフに向けてこの勢力図がどう変わっていくのか。引き続き追いかけていきたいと思います。

*1:"Boston lost a total of 8,749 minutes and 4,415 points -- 46 percent of their total scoring output" - NBC Sports Boston

*2:"Boston's defensive rating plummets to a team-best 103 with Gonzalez on the court, or 11.7 points per 100 possessions better than the team's season average" - NBC Sports Boston

*3:"Through the month of November ahead of games played on Dec. 1, the Suns rank No. 1 in the NBA with 10.6 steals per game" - Valley of the Suns

*4:"Defensively they just play hard every night" - Steve Kerr, ClutchPoints

*5:"Phoenix is a trapping, pressing defensive team now in the Oklahoma City/Toronto mold" - NBC Sports

*6:"Brooks takes it upon himself to push Ryan Dunn and Oso Ighodaro into being elite defensive players" - Arizona Sports

*7:"San Antonio defeated Miami 107-101 and set a franchise record by opening the season 5-0" - NBA.com

*8:"Detroit's current 13-game streak ties a mark the franchise has set twice previously. The other streaks came in the 1989-90 and 2003-04 seasons, and the Pistons went on to win the title in both years" - SI.com

*9:"Pistons power past Thunder for No. 1" - NBA.com

*10:"Leading the league in total stocks (steals plus blocks), Barnes has been everything everywhere all at once for the Raptors' seventh-ranked defense... the biggest takeaway from Toronto's season is that Barnes is an undeniable franchise star" - theScore

*11:"rough 4-13 record against the league's 10 best teams" - Yahoo News Canada